[プレスリリース] 獣医臨床教育における新たな一歩:VR教材の有効性を検証
東京大学 大学院農学生命科学研究科の加藤大貴特任講師、中川貴之准教授、連携研究機構 バーチャルリアリティ教育研究センターの青山一真特任准教授、伊藤研一郎助教、雨宮智浩教授らの研究グループは、獣医臨床教育において360°VR映像を活用した教材の学習効果を従来の2D映像教材と比較する研究を発表しました。本研究は、雄犬の去勢術(両側精巣摘出術)を対象に実施され、VR教材が解剖用語の理解や臨場感の向上において優位性を示しました。この研究成果は、2024年12月27日付で、日本バーチャルリアリティ学会論文誌に掲載されました。
○研究の概要
獣医学教育では、高度な外科技術の習得が重要視されていますが、動物愛護の観点から実験動物を使った実習が制限されつつあります。本研究では、術者視点の360°VR映像を活用し、臨場感の高い教材を開発。東京大学農学生命科学研究科の学生27名を対象に実験を行い、VR教材と2D教材の学習効果を比較しました。
○研究成果のポイント
- 解剖用語の理解向上:VR教材を使用したグループでは、解剖学的な知識の定着率が有意に向上した。
- 臨場感の向上:VR教材は、学生に「手術室にいるような感覚」を与え、没入感や集中力を高める効果が確認された。
- 教育への応用可能性:VR技術を活用することで、手術技術を擬似的に体験しながら学習する新たな手法が提案された。
○論文情報
〈雑誌名〉日本バーチャルリアリティ学会論文誌
〈題名〉獣医手技学習におけるVR教材と2D教材の効果比較―両側精巣摘出術を対象とした実習での導入事例―
〈著者名〉加藤 大貴, 前田 清洲, 青山 一真, 伊藤 研一郎, 中川 貴之, 雨宮 智浩
〈DOI〉10.18974/tvrsj.29.4_303
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tvrsj/29/4/29_303/_pdf/-char/ja
○研究助成
本研究は、JSPS科研費(課題番号:JP21K19180)からの部分的な資金提供により実施されました。
○問い合わせ先
<研究に関する問い合わせ>
東京大学 連携研究機構 バーチャルリアリティ教育研究センター
教授 雨宮 智浩(あめみや ともひろ)
Tel/Fax:03-5841-0836
E-mail: amemiya@vr.u-tokyo.ac.jp
<報道に関する問い合わせ>
東京大学 連携研究機構 バーチャルリアリティ教育研究センター 事務局
Tel/Fax:03-5841-0836
E-mail: info@vr.u-tokyo.ac.jp
Web: https://vr.u-tokyo.ac.jp/